政治と殺人

最近、私は CNN Españolを良く見ている。
スペイン語の勉強のためと、ニュースを見るために。
スペイン語は100%理解できないけれど、取り上げられている内容や、
何を言いたいのかは、映像も手伝って、なんとなくわかる。

ちなみに、
CNNで、グアテマラが取り上げられることは、ほとんどない。
よく出てくるのは、メキシコ、コロンビア、ベネズエラ、スペイン、アルゼンチンといった国々か。
中米で言えば、パナマが良く取り上げられる方かと思う。
それは、その国々の国土が大きく、人口も多く、天然資源も有していること。
(その分CNNを見ている人も多いだろう)
パナマは、パナマ運河を有している。
ちなみに、パナマの大統領がアメリカでブッシュと会見したときは、英語で会話していた。
各国が、アメリカの政治にとって、重要な位置を占めているであろうことが想像できる。


2月20日火曜日。

朝ごはんのために食堂に下りると、その日の新聞が。
一面には、「3人のエルサルバドルの国会議員が、グアテマラの国道沿いで殺された」
ニュースが掲載されていた。
ありえない。
そこから、家のお母さん、お父さんの会話が始まる。
「グアテマラは、本当に暴力が多いこと」
「政治家や公務員が、税金を盗んでいること(その日の新聞にも、その記事があった)」
等々・・・。
最後には、インディヘナの人でノーベル賞を受賞した「リゴベルタ メンチュウ」が、
今度の選挙に出馬するかも。という話から、インディヘナとメスチソの差別の話まで。
最後のコメントは、「軍事政権だったときの方が、安全だった」と・・・。

朝で時間もなかったので、そのまま職場へ。 途中で新聞も買った。


夜、CNNを見ていると、「Guatemala」との単語が耳に入る。
ニュースは、「3人のエルサルバドルの国会議員が、グアテマラの国道沿いで殺された」
ことだった。
エルサルバドルの大統領が、怒りのコメントをしているところも映っていた。
この事件から、2つの国の関係が悪くならないことを願う。

グアテマラがCNNで取り上げられたと思ったら、こんなニュースなんて。


新聞を読んでいると、グアテマラ人がフラストレーションを抱えているとの記事が。
その原因は、安全が保障されていないことと、経済面だということだった。
私もこの国に住んで、「危険であること」が与えるストレスは、ものすごく感じている。
毎日の新聞で、殺人の記事が取り上げられ、公共機関のバスで強盗が起きる。
生き延びても、「その場にいた人がトラウマを負っているのでは」と思うと、悲しくなる
安全が、「運」次第だということに、不条理を感じる。
経済に関しても、この数ヶ月で銀行が2つも破綻するという、ありえないことが、
普通に起きるグアテマラ。
それは、ストレスになって当たり前だろう。

2月21日、 朝。

またもや、今日の新聞が。
今度は、3人で犯人は誰かとの意見を言い合う。
私は、「エルサルバドルの政治の怨恨が、グアテマラに持ち込まれた。犯人は、エルサル関係の人だと思う」との意見。
お母さんも、新聞に「計画的犯行」とあったので、
「犯人はエルサルバドルから後をついてきて犯行のチャンスをうかがっていた。」との意見。

そして、びっくりなのが、お父さんの意見。

「3月中旬に、ブッシュ大統領が来る。その前に、他の国の政治家が殺されていれば、(グアテマラは、他の国の援助がないから安全な国にならない)とアピールができる。援助をお願いすることができる。そのために、グアテマラの誰かの計画的な犯行だ。」と言った。

お父さんは、約20年県知事の運転手として働いていた人。
まさに、内戦真最中。そのために、「偏った意見を持っているな」と感じることは多々ある。
でも、それにしても、こんな発想がでてくること自体が、私にとって驚きだった。
でも、それは事実だ。

「小国が注目される」

9・11のテロにしても、今回の事件にしても、なんだか政治の難しさを感じる。
でも、一つだけ私がわかることは、
「人の生命は、何よりも尊いもの。政治のために、犠牲にしてはいけない。」ということか。
by fujika0316 | 2007-02-21 23:48 | グアテマラ
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