眼に見えないこと。

この数週間、いろんな事があったけど、ブログに書ききれないでいる。
そんなの、当たり前か。
でも、やっぱり、印象に残っている事を、残しておきたいと思う。

以前、少し書いたけど、パナにあるおばあちゃんが住んでいる。
その人はアメリカ人で、環境系の活動を通して青少年の育成を活動の目的としている。
彼女に初めて会ったのは2月の終わり。
昔、キチェ県や、エスクイントラ県にも住んで活動していたこともある。
パナの前は、ソロラ県のサン・ルーカス・トリマンと言う町に住んでいた。
安全を考慮して、2月にパナに引越してきた。

3月12日の午後、パナへ。
アメリカから獣医たちが来て、動物の避妊手術を無料で行うキャンペーンをした。
彼女に誘われて、私も様子を見に行ってきた。
動物を手術しているのを生で見るのは初めてで、すごく印象に残った。
内蔵っていうの??なかなか、生々しかった。
手術のあと、動物たちは麻酔の影響もあってぐったりしている。
それに、飼い主たちが、寄り添っている。
彼女がその姿を見て、「本当にステキなことでしょ」と笑顔になる。

彼女はプロジェクトを通して、7人の少年(青年?)を育成している。
彼らにちょっとした給料を払い、植林をしたり、自然公園を手入れしたり。
前の町で、高校を卒業しても職がなく、悪に手を染めていく少年たちを見てきた彼女。
「働いて、お金をもらうこと」の大事さを、感じたそうだ。
その7人から、何かが始まり何かが広がる事を、彼女は信じている。

その、動物キャンペーンに3人の少年が来ていた。
初めての私の印象は、「ちょっと、ボーっとしている感じ」
もちろん、3人それぞれ個性があるのだけど、おとなしそうな感じだった。
最後のほうには、アメリカ人の恰幅のいいおばちゃんに、
「みんな、まだ働いているのに、なんであんたたちだけ休んでいるの?
自分で仕事を探して見つけて、やりなさいよ!!!」と怒鳴られていた。
少年を育成するっていっても、難しいなぁ。と、ちょっと人事のように思っていた。

そして、3月20日、次の週の会議の招待状を持って訪ねる。
そのまま、色々な雑談が始まる。そして、彼女の撮った写真を見せてくれた。
その中に、あの時の3人の写真もあった。

「彼らはね、ああ見えてもすごく成長したのよ。おばちゃんは怒っていたけど、あの時は2日間のキャンペーンの最終日の午後で、疲れていたの。」
と、始まった、彼らに関する裏話。
活動が始まる前、文字が読めなかった子、ギャング集団に入りかけていた子、学校と言うものに10日程度しか行ったことがない子、そんな子達だった。
もちろん、なにか技術を持っていたり、器用な子もいる。
それが、仲間ができ、一緒に活動をはじめ、いろんな事を教えあい始めた。
そしてある日、文字が読めなくて、自分に自信がなかった子が、「本がほしい」と言った。
その時、そのおばあちゃんはすごく嬉しかったそうだ。

動物に対しても。
彼らは最初、イヌに対して愛情を注ぐなんて観点がなく、近くにいても蹴ろうとしていた。
それが、今では、世話をしたり、えさをやったり、なでてあげたりするようになった。
今回のキャンペーンのために、彼らは檻を作ったらしい。

あぁ、全然分かってなかったなぁと思った。
自分の働く基準、仕事の基準から判断して、彼らを「まだまだ」だと思っていた。
でも、彼らが歩んできた人生の側から見れば、「すごく成長した」のだ。
7人。
という人数が多いのか、少ないのかは、私にはわからない。
彼らが、最終的にどう自立していくのかも、私には想像できない。
私にわかることは、彼女が母親のような愛情を持って、彼らの成長を見守っていることか。
by fujika0316 | 2007-03-28 01:41 | 近況
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