恋人と語学


語学を学ぶとき、現地に恋人がいると上達が早いと言うが、本当だろうか??
その理由は、好きな人と話していると、
「相手のことを理解したい」
「相手に自分の気持ちを伝えたい」
という、感情が高まって、語学が上達するというのだ。

私は、その理由と影響、原因と結果は一理あると思う。

では、私の場合は????
というと、

グアテマラ人の恋人の代わりに、最高のカウンターパートと一年働けた。
これは、「運がいい」としか言えない。
仕事の同僚と言うのは、上記の2つの条件を満たしている。
更に、彼女はおばちゃんなだけあって、おしゃべり好き。
そのおしゃべりを聞いているうちに、スペイン語も好きになった。

そのカウンターパートが、1月2日をもって元居た小学校に戻った。
彼女は30歳になる2児のお母さん。旦那は、スポーツ選手の家(超直訳)で働いている。
彼女とは、公私共に仲が良くてお昼ご飯に招待してもらったり、
何もなくても、家に遊びに行ったりしていた。

今年の1月2日。所長にカウンターパートの確認をすると、
「まあ、待っていなさい」ということ。
今年は、選挙の年でもあるので事務所は2日から大忙し。
ということで、待つことに。

私は、「意欲も能力も人脈もある彼女と働きたい」気持ちと、
「段々、サポートが減り、不条理な仕事も多い事務所で働かせるのはかわいそう」
という、2つの気持ちの葛藤。

その、なんとも言えない気持ちのまま、2日の仕事の後に、彼女のうちへ
彼女は、その日に学校であったことを教えてくれた。
先住民族地域の小学校の2年生の先生として、2年前は働いていた。
そして、去年は1年契約で、私のカウンターパートに。

でも、保護者たちは、彼女がいい先生なので、残っていて欲しかった。
更に、彼女の代わりに送られてきた先生が、体罰も行い、態度も悪い教師。
ということで、保護者たちから大ブーイング。
だから、2日から、保護者たちが集まって、彼女は教育省の事務所でなく、
ちゃんと小学校で働くように、意見書にサインをしたのだ。

私も、それらの状況を踏まえ、彼女が小学校に戻ることを了解した。

そして、18日の木曜日。局での会議。
局長が、「これから小学校から送られてきた教師も、午後の5時まで働かなくてはならない。」
と。ありえない。
なぜなら、彼女たちは小学校に居るときと、同じ給料で、同じ労働条件で働いているのだ。
つまり、それを無視して5時まで働くのは、超ありえないサービス残業になる。

私は、彼女が好きだから、そんなことを、強制できないと思った。

そして、金曜日もまた、彼女のうちへ。
事務所では、どんなことが行われているのか近況報告。

その後、彼女の小学校での話を聞いた。
今月から小学校に帰ったはいいものの、去年、私と働いていた彼女は、
小学校の中で新人扱いをされているらしい。
彼女のクラスは30人の子どもがいるのに、割り当てられた教室は一番小さいもの。
それなのに、15人しか居ないクラスの担任の校長先生は、
校長室に近いという理由で、大きい教室を使っているのだ。
なんて理不尽。何よりも、子ども達がかわいそう。

そして、ある日、保護者が来たときに現状を知った。
今度は、保護者たちが校長先生に抗議してくれるということだ。

その出来事自体、ある意味グアテマラを象徴していると思うけど、
去年、自分の学校に居なかったと言うことで、彼女が苦労していることは間違いない。
私には、直接言わないけど、そんな陰の苦労に感謝していくことが大事だと思った。

その後、事務所の現状を話し、
「私は、あなたと働きたかったけど、事務所のことを考えると、
やっぱり、小学校に戻って良かったよ。いい選択をしたよ!!
私は、あなたが好きだからこそ、時間外も働くことを要求することはできない。」と言った。
彼女も納得し、「やっぱり、私は子どもが好きなんだよねー」と。

そんなこんな、色んな雑談もして、私は帰った。


ソロラ市には、沢山の坂がある。
中に私が名付けた「笑の出る坂」がある。
それは、登っていて笑が出るほど、急できつい坂。
登っているときに、周りに人がいると、途中で眼があって笑顔になる。
年代、民族は違えど、「きつい坂は、きつい」のだ。

彼女は、その坂を登ったところに住んでいる。
去年、毎朝事務所に行くとき、その坂を見上げるのが常だった。
その時、彼女が歩いていれば、待って一緒に事務所に行く。
居なければ、「今日は、遅刻かなー」と思う。
その曲がり角で、自然と坂のほうを見上げて、彼女を思う。

彼女が小学校に戻った今、
この時間に彼女が坂を下ることは絶対にないのに、
無意識に坂を見上げてしまう。首が動いてしまう。


まるで、恋人みたいだ。
by fujika0316 | 2007-01-22 23:59 | 近況
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