空ノウタ


メキシコの、街角で



グアナファトから帰ってきた日、市場で買い物をした。
その市場から、少し遠くの地下鉄の駅まで、散歩がてら歩くことにした。

道を歩く人々、屋台でタコスを食べる人。
なぜだか、急いで歩いている人、 本当に、都会だなと思う。
大通りに面した公園に着き、のんびりと歩く。
日が暮れ始め、車のライトがぽつぽつとつき始める。
先に見える高層ビル群も、光り始める。


なんだか、自分が、どこにいるのか一瞬わからなくなる。


その時、「じゃらーーーん」との、激しい音とともに、きらきらと光るものが舞った。

映画のように、美しく舞ったのは、大量の、本当に大量の小銭だった。
道路を渡り、近づくと、おじさんと若い女の子が、一瞬立ち止まり、
  お金を拾い始めた。

でも、ここは大都会の大通り。
車は容赦なくやってくる。
私も、手伝い始める。
車に乗っている人たちから、私たちは、どんな風に見えるんだろうと思いながら、拾う。
おじさんが、「信じられない」「信じられない」と言いながら、拾う。
私も、そりゃ、「信じられない」よね。と思う。


格好、様子から言って、二人は、新聞を道で売って生活しているのだろう。
小銭たちは、日本円で、10円、5円、20円といったものばかり。
たまに、100円ぐらいの硬貨もある。
これらは、彼らの今日一日分の、稼ぎなのだろう。
それは「信じられない」よね。

おじさんと、若い女の子と、アジア人の女の子が、道で小銭を拾う。
きっと、不思議な光景だっただろう。
しばらくすると、道ゆく人が、手伝い始めた。
車の交通整理を手伝う人も。

約8割拾い終わり、残りは、車の通りの激しい場所のみとなった頃、
どこから駆けつけたのか、おまわりさんが、交通整理を始めた。
車の通りより、小銭を拾うほうが優先なんて・・・。
そんな、人間くささが、私は好きだ。

拾い終わり、皆が帰り始めると、女の子が、近づいてきた。
「ありがとう」と満面の笑顔とともに、その手には、あふれんばかりの小銭が。
私は、「いらないよ、ありがとう」と笑顔で返した。
女の子は「どこから来たの??」
「日本だよ。グアテマラで、ボランティアとして働いているんだよ」
「日本に行くには、どのくらいお金がかかるの??私も行きたいなー」
「そうだね、沢山お金がかかるよ。いつか、行けたらいいね。」

そして、「気をつけてね」と言って、歩き始めた。

すると、おじさんが、走って追いかけてきて、新聞をくれた。
きっと、今日の売れ残りなのだろう。
私は新聞なら、と思って「ありがとう」と言って受け取った。
おじさんも、満面の笑顔と「ありがとう」との言葉をくれた。

こんなに、真心のこもった「ありがとう」を受け取って、
気持ちも、落ち着いてきた。
久しぶりの大都会、メキシコシティの中で、地下鉄の便利さに感動もしたけど、
あふれている人間の数や、満員の地下鉄、渋滞する車両に疲れていた。

そんななか、こんな、場面に出会い、不思議な経験をして、
「ありがとう」との言葉がもらえたことが、なんだか、心に染みた。
都会と言う、無機質な場所だからこそ、ひとつの小さな人間的な出会いが、
光を持つのだろう。

あのおじさんと、女の子も、幸せでありますように・・・。
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by fujika0316 | 2006-12-01 07:45 | 近況

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世界一美しいといわれているアティトラン湖を擁する、グアテマラのソロラ県で環境教育の活動をしています。思ったことを、素直に・・・
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駒ヶ根訓練所での訓練の様子からかいているので、時間があったら、遊びに行ってやってくださいな!!
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